【記事/インタビュー】浦和エリアの老舗のお店
お客様のニーズに応えて変化を続ける四代目!
店主の西岡東輝さん
樺太で商売を始められた曾祖父(ひいおじい)さんが、山を売り払って現在のさいたま市に越してきたのが戦後すぐ。それから四代に渡り、大宮、与野、北浦和などでお菓子、パンの販売を続けて現在にいたるのが北浦和の人気パン屋の「エトアール」さん。
本日は、現店主でドイツパンの修業をして販売を始められた西岡東輝さんにお話を伺いました。
--- 種類の多さとドイツパンとが有名な「エトアール」さんですが、なぜドイツパンを始めようと思ったのですか?
実家を継ぐと決めた時、最初は元々のうちみたいな感じの東京のパン屋さんに修業に行ったんです。
でも、それだと結局自分自身の強みが出せないな、自分の武器がほしいと思っていました。
そんなときに、池袋のあるデパートの催事コーナーで食べた「ライ麦パン」が美味しくて、「これだ!」と。
そのお店の本店が吉祥寺にあると聞いたので、そちらに頼んですぐ修業にいきました(笑)
吉祥寺で暮らしながら、約3年半ドイツ人のマイスターからドイツパンを教わりました。
--- なるほど。ところで、ドイツパンの特徴とはどんなものなんでしょうか?
私が習ったのは、「プレッツェル」と「ライ麦パン」ですが、ドイツでライ麦パンが主流なのは、寒いからなんですね。
寒くて小麦が育ちにくい。そこで小麦の代わりに寒いところで育つライ麦をつかったパンがつくられました。
ただ、ライ麦には「パンを膨らませるのに必要な」グルテンが少ないんですよ。そこでそれを補うために「サワー種(だね)」というものを混ぜるんですが、膨らむようになる代わりに酸味が強くなるという特徴はあります。
--- 酸味が強いんですか?
ええ、そのあたりは「サワー種」の量や「ライ麦」の含有量で変わってきます。
その組み合わせで1,000種類くらいはあるらしいんですけど(笑)
うちでは、お客さんの意見などを聞きながら、売れそうな組み合わせをチョイスして選んでいっています。
今残っているものは、お客さんのついた組み合わせのものですね。
--- 特に他のドイツパンとはここが違う、というようなこだわりはありますか?
修業していたドイツパンのお店は、ドイツ人のマイスターがドイツのパンをそのまま日本に持ってきたようなパンを出していたんですよ。味付けとかも日本人からするとかなり塩っぱかったりして。
あとは、本場ドイツではラードを使うんですね。当時、吉祥寺のお店でもお客さんから「なんでラードを使うんだ!?」とか訊かれることがあって、それを通訳すると、マイスターは「ドイツは豚が多いからラードをつかうのはしょうがないんだ!」って(笑)
けど、日本ではどうしてもラードに対する印象は良くない。
なので、僕はラードの代わりにバターを使うようにしたり、ドイツパン特有の塩っぽい部分を抑えるなどお客さんの意見を聞きながら変えるようにしてきました。
今でも、常連のお客さんから「これは甘すぎる」とか「表面の砂糖は要らない!」とか言われると、もう一度検討するようにしています。
--- パン屋さんとしては、与野から北浦和へ移ってきたと伺いましたがどういった背景があるのでしょうか?
元々、北浦和のこの場所ではケーキ屋をやっていて、与野で実家がパン屋をやっていたんです。
で、11年前に家業を継いだ後、最初は与野にいました。でも、与野の店は35坪あってかなり広かったんです。
その広さの店でパン屋としてやりくりするには、特注をとっての配達とかの割合もかなり多くないとダメで、それだったら与野は閉めて、丁度良い広さの北浦和に移ろう、と。パンの修業しかしていなかったし、ケーキ屋は閉めてパン屋にしようと(笑)。そう思って移ってきました。
移ってきてから今が6年目ですね。
--- 北浦和の特徴はなにか感じますか?
浦和はパン好きの方が多いという印象ですね。
元々ケーキ好きの人が凄い多い土地柄ですけど。
--- ケーキとパンの消費量は旧浦和市は日本一だったと聞きました。パンにこだわりのある方も多そうですね。
そうですね。北浦和だけでも20店舗くらいのパン屋さんありますが、「あのパン屋さんではこのパンをかって、こっちのパン屋さんではこのパンを買う」というように、パン屋さん巡りをしているお客さんも結構いらっしゃいます(笑)
パン屋さんのポイントカードも何枚も持っていたりとか。
--- ありがとうございます。最後に浦和エリアの方へのメッセージをお願いします。
今言ったように、
北浦和だけでも20店舗くらいのパン屋さんがありますけど、私たちはお互いに盛り上げて「パン」の街浦和をつくっていきたいと思います。
ですので、皆さんにも是非パン屋さんへ足を運んください!
--- ところで、後ろに移動カフェの「Flat」さんがいらっしゃっているようですが。
「Café Flat」の治美さん、金光治美(かねみつはるみ)さんですね。
毎週火曜日に来てくれています。
--- カフェとの連携は面白いですね!いつ頃から来られているんですか?
2年くらい前ですかね。
いま、うち(エトアール)はここで6年目ですけど、4周年念の前にちょっとイベントがあって単発で呼んでみたんです。「来ない!?」って。
そのときにラテアート目当てですごく行列ができて。
--- 治美さんにもお話し伺っても良いでしょうか?
そのときのこと覚えていらっしゃいますか?
(治美さん)
ええ、私も出店できる場所を探しているころだったし、声をかけてもらって行ったら凄い行列ができたので嬉しかったです(笑)
もともとパンとコーヒーなので相性は良いと思っていました。
ここにいらっしゃるお客さんとかもパンとコーヒーを合わせて買ってここで食べていってくれていますが、うちのお客さんにもパン好きな方がいるんで、こういう(エトアールさんみたいな)所があるんだよ、っていうと、また来るねと言っていただいたりします。
--- ラテアートも素敵ですもんね。どういう絵を頼まれることが多いですか?
(治美さん)
色々ですけど、お子さんの似顔絵を描いてほしいとかは結構ありますね。
それをそのまま、SNS用のアイコンにしてくれたりとか。
--- ああ、納得です! すみません。もし宜しければ何か一つ簡単なものを書いてもらっても良いでしょうか?
(治美さん)
じゃあ、猫ちゃんで(笑)
僅か1分半。これで¥420は安いです!
--- あっという間でしたね!
西岡さんにお伺いしますが、火曜日は売上げなどはやはり違うのでしょうか?
そうですね。元々、火曜は「ポイント倍デー」だったりしたんですが、Flatちゃんが来てくれるようになってから高いレベルで安定してお客さんが来てくれるようになりましたね。
火曜日だけというプレミアム感もあるのかもしれません。
--- なるほど、治美さん、西岡さん、ありがとうございます!
エトアール西岡さんとCafe Flatの金光治美さん
パンとカフェのコラボです!
旧「フジヤ」時代から、代々のチラシをスクラップ保存。
その他、その時その時の店主の皆様の業務日誌なども!
40年以上前のチラシもすべて保存・・・
「フジヤ」さん時代のセールチラシ
昭和感満載です!
キリンなのに「ウマ」イ!
以前の店主が考えたという、オリジナルキャラクターの「メダマン」
現店主の西岡東輝さんもそうですが、
代々店主の皆さんのたゆまぬ創意工夫と変革意識が
地元で愛される秘訣でなのでしょう。
いかがでしたでしょうか?
実際に西岡店長とお話しさせて頂いてみて感じたのは、先ずは「お客様に受け入れられるため」のパン作りへの情熱、そして地元愛。
ニーズに応えるために、常にパンの研究をされていることはインタビューの中にも書きました。
地元愛という部分にも、もう少しフォーカスしたいと思います。
子供時代からこのエリアで過ごされているだけあって、地元の知り合いも大変多いのが西岡さんの強みでもあります。
そのため、地元で行われるイベント情報なども「エトアール」さんのもとには集まってきますし、西岡さんご自身も地元のイベントへの参加や、色々な方とのコラボ、また自ら企画した「パンのイベント」を積極的にされているという印象でした。
店内には地元のイベント情報ポスターなども貼られています
大好評の冷やし中華パン!
取材日 | 2019年4月~6月 |
店名 | 焼きたてパンのお店 エトアール |
住所 | さいたま市浦和区北浦和1-5-3 |
電話 | 048-831-2055 |
営業時間 | 8:30~19:30 |
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